2016年7月25日月曜日

DOMMUNEで『デスメタルインドネシア』をやります!

明日2016年7月26日(火)19:00~21:00に、DOMMUNEで『デスメタルインドネシア』をやります。

出演するのは『デスメタルインドネシア』の著者でAsian Rock Risingの小笠原和生氏と編集者で『デスメタルアフリカ』の著者のハマザキカク。

スタジオ観覧もできるので、興味がある方々は是非いらして下さい。『デスメタルインドネシア』のシールを差し上げます。

もちろんUSTREAMの番組なので、自宅でも視聴できます。



昨年に『デスメタルアフリカ』を出した時もDOMMUNEには、チョウフシミンさんと一緒に出させてもらいました。

インドネシアには、アフリカと違って、世界最先端のブルータルデスメタルが大勢います。実は日本は完全に抜かされているので、上から目線で「B級」とか「ポンコツ」「辺境メタル」と言えなくなってきている状況です。

しかし本格的にそうなってきたのも2010年頃からで、90年台や2000年台初頭までは、インドネシアのシーンもまだ成熟しきっておらず、ヘンテコさや独特の暑苦しさがありました。

なぜこの様な事になってしまったのか、ビデオクリップを見ながら、インドネシアやアジアのメタルを二十年以上研究してきている小笠原さんが解説します。プレイリストを送ってもらいましたが、私自身が知らなかった面白い音源が沢山ありました。

そしてインドネシアだけでなく、全世界の最新のブルータルデスメタルをウォッチし続けているハマザキカクも特にレベルの高い音源を紹介します。本が出版され後にリリースされた音源や、収録しそびれた音源なども紹介します。

DOMMUNEでは『デスメタルアフリカ』で私が出演した時が、初めてのメタル関連回だったらしく、逆に言うと、メタルの世界ではDOMMUNEの事を知らない方も多いようです。

宇川直宏さんが主催している音楽ネット放送と言って良いと思いますが、出演者に裁量が任されているので、ある意味、タモリ倶楽部を制限取っ払って、自由に2時間面白い音楽ビデオクリップを放送できる様な感じと言ってもいいかもしれません。

なので『デスメタルインドネシア』の熱心な読者は必見です!

明日は残業しないで、速攻で家に帰りましょう!

2016年7月22日金曜日

『ヒップホップコリア 韓国語ラップ読本』が完成!


鳥居咲子さんによる『ヒップホップコリア』が完成しました! 太極旗とIllionaire、Speaking Trumpetのメンバーがカバーを飾っています。


帯を取り外した状態。太極旗が韓国舞踊の様に舞っているイメージです。カバーは私のデザインです。


本扉。


前書きや目次の後にまずはこの本を読んでもらう上で、必要な用語を解説しています。


ここからが本書のメインコンテンツとなる、アーティスト紹介。トップバッターは韓国のヒップホップ界の顔、Dok2。プロフィールや生年、出身地、実名、SNS、ディスコグラフィー、そして代表曲のYouTubeのリンクが掲載されています。洗練されたDTPデザインは北村卓也さんによるものです。非常にオシャレ。


Dok2と組み、プロデューサーとしても高評価のThe Quiett。イケメンなので、日本でも人気です。


随所で息抜きコラムも。相当稼いでいると噂されるIllionaire。彼らの所持品自慢ページ。The Quiettが持つスニーカー「Air Jordan 4 Undefeated」は257万円するそうです。


韓国のヒップホップの歴史を解説したコラム。ソテジワアイドゥルなどがパイオニアとされます。


インタビューも試みており、これは韓国語ラップの新境地を開拓した「多音節ライム」を開発したVerbal Jint。


アーティストたちの収入源や、韓国のストリーミングサービスといった、韓国のヒップホップのシーンを取り巻く状況についても解説。


強面のDeepflowにインタビューしたついでに、トッポッキのオリジナルレシピも提供してくれました。


韓国ヒップホップのレーベルやクルーを紹介したページ。今現在活動する人たちだけでなく、過去に活動していた人たちも紹介。


Keith Apeは日本やアメリカでも大人気。アイドルや韓流スターだけでなく、こういった海外でも評価されるラッパーが続々と登場し始めてきて、韓国のヒップホップのブレークぶりが分かります。


菊地成孔さんにコラムもご寄稿頂きました。どうやって韓国のヒップホップに出会ったかについて、ユーモラスに書かれています。


著者の鳥居さんは、今まで韓国のアーティストたちを日本に招いてライブを開催してきました。日本と韓国の関係は歴史や領土の関係ではセンシティブな事もありますが、その二国間交流で体験してきた事について語っています。


韓国のラッパーを日本に招いた時のレポートなども。


大御所や人気ラッパーだけでなく、これから大ブレークしそうな若手や新人も紹介しています。Bewhyというラッパーは相当スキルフルで格好よく、今後人気が爆発しそうです。


北朝鮮から韓国に逃れてきた脱北ラッパー、カン・チュンヒョク氏へのインタビューにも成功しました。私ハマザキカクもインタビューで幾つか北朝鮮に関する事や政治的な質問を寄せて、回答を頂きました。


韓国のヒップホップのビートメイカー達も紹介。


ヒップホップは早口言葉の音楽で、歌詞が重要ですが韓国のヒップホップは当然、韓国語。日本人には難しい事もありますが、どういう歌詞なのか、どういう事が歌われているかを知るだけで、その理解はよりいっそう深まります。


という訳で、ざっと早足で『ヒップホップコリア』の中身を紹介しました。ここでは当然全てのページやコンテンツをお見せする訳にはいかないのですが、とても盛りだくさんの内容となっています。


韓国のヒップホップに興味がある人、元々好きだった人、アメリカや日本以外のヒップホップに興味がある人、珍しい音楽に興味がある人、そして韓流やK-Popファン、多くのバックグラウンドの方々に手に取って頂ければと思います。


四六判並製オールカラー、192ページ、2200円で、8月上旬に書店で販売開始します。


そして鳥居さんご自身のオンラインショップ「Bloomint Music」では一足先の来週に先行販売します。告知はまだですが、詳しくは「Bloomint Music」を御覧ください。



2016年7月11日月曜日

鳥居咲子著『ヒップホップコリア 韓国語ラップ読本』が出ます!

 

突然ですが『ヒップホップコリア 韓国語ラップ読本』が出ます! 著者は韓国のヒップホップサイトBloomint Musicを運営する鳥居咲子さんです。またこの本は世界中の非英語圏ヒップホップを集めた『ヒップホップグローバル』シリーズの第一弾です。


Bloomint Musicのサイト


韓国は世界有数のヒップホップ大国として知られ、Psyのカンナムスタイルが流行ったのも記憶に新しいところです。世界ではK-Hiphopと呼ばれ、日本でも近年、ファンが激増中です。


特に日本人にとって、韓国語のラップは日本の歌謡曲や演歌、カラオケと似ていて、アメリカの黒人のヒップホップよりも身近に聴こえます。また韓流アイドルから流れ着く人も多いようです。確かに韓国には、他の国では見られない「ヒップホップアイドル」と言われる、ルックスが売りの人たちもいます。


またアメリカで育った韓国系移民の二世や、帰国子女のラッパーも多く、英語の発音も抜群です。そしてよく言われるように、韓国の人口だけでやっていくには少すぎる為、最初から海外進出を視野に入れて活動しており、よりグローバルにプロデュースされている事も多いようです。


韓国語自体、「パッチム」と呼ばれる子音で終わる言葉や激音や濃音が多く、日本語や他の言語に較べてもかなり滑舌良く、激しく聴こえる為、ヒップホップに向いた言語だと言われています。


この『ヒップホップコリア』では;

●ラッパーの実名ハングル・生年・活動期間
●代表作レビューとYouTubeのリンクURL
●各種SNSのURL
●プロデューサー・レーベル・クルーも入念に解説
●重要ラッパーにインタビュー
●ラッパーの音源収益の実態解明
●韓国ヒップホップ歌詞分析
●韓国ヒップホップの歴史
●韓国ヒップホップ用語解説
●ストリーミング サービス紹介
●ヒップホップ日韓親善
●時計・靴・車の所持品自慢

などの内容が収録されています。まさに韓国のヒップホップを知る上で、日本初となる概説書です。この本を読めば、韓国のヒップホップの歴史から主要なアーティスト、関係者、最近の様子などが全て分かります。


特に有名ラッパーの代表曲のYouTubeのURLを数多く掲載しているので、この本を見ながら、韓国ヒップホップの代表曲・有名曲を手っ取り早く、ほぼ全て実際に聴くことができます。


またそれ以外にも菊地成孔さんの寄稿コラムや、脱北ラッパーのインタビュー記事なども掲載していて、盛り沢山です。


このチラシに載っているのは

●極貧からスターダムへ成り上がったギャングスタDok2
●正統派からSWAGへ変貌でも実は温厚で女性ファン多数The Queitt
●脱アイドル成功し、世界で活躍するスーパースターJay Park
●大衆化貢献超イケメンSimonDominic
●ディス戦・大麻逮捕の問題児E Sens
●70万売上40代誰でも知ってるJinusean
●スタンフォード卒文学詩Epik High
●低音ボイスと誠実な歌詞で包容力抜群Paloalto
●『It G Ma』スクリーモラップ世界輸出Keith Ape
●機械のような奇人芸術家=Zion.T
●ヒップホップ女王ユンミレTasha
●ライムとフロウ抜群美声Verbal Jint
●パンチライン・キングSwings
●李明博親族Double K
●完璧な色男プロデューサーGray

などですが、それ以外にも総勢65組のアーティストが収録されています。韓国のヒップホップを知りたい方、元々好きな方に是非おすすめの『ヒップホップコリア』。192ページ、オールカラーで2200円で、見応えもあります。DTPは北村卓也さんが手がけ、非常にスタイリッシュなデザインになっています。


今現在印刷中で、書店に並び始めるのは8月上旬です。鳥居さんのBloomint Musicで先行販売も予定しています。


さてここからは私ごとなので、特に私に興味ない人は読まないでも構いません。


私自身、ブルータルデスメタルが最も好みの音楽の一方で、ドイツやロシアなど非英語圏のヒップホップも好きで、韓国のヒップホップも結構聴いていました。そもそも非英語圏ヒップホップで一番最初にハマったのが韓国語のヒップホップで、韓流が流行る遥か前のIMF不況直後の1998年ごろに韓国を訪れた際に、初めて出会いました。


ソテジワアイドゥル程、遡りはしませんが、Jinuseanやgod、Diva、ユスンジュンなどが流行っていた頃です。怖いもの見たさで聴いていたらかなり中毒化し、TURBO CLUBという韓国芸能サイトをチェックするのが日課となっていたぐらいです。その頃に同じく韓国ヒップホップにハマってしまった友人もいました。


しかし時が経つにつれて徐々に韓流が流行り、大衆芸能ポップス化するか、オシャレでジャジーなヒップホップが増えて、あまり面白く感じなくなってしまい、次第に遠ざかってしまっていました。


2000年代中期からはドイツやロシア、フランスのヒップホップばかり聴いていて、ブルータルデスメタルよりも聴いていたぐらいです。


しかし確か2012年ごろ、久しぶりに韓国のヒップホップを検索していたら、たまたまIllionaire RecordsのDOK2とThe Quiettの『Give it to me』を見かけて、ここまでハードコアなラップに進化していたのかと大変驚いた訳です。以前、韓国で見かけていた、どことなくポンチャックっぽくて、ダサカッコ悪い要素は全く見当たらず、とても洗練されていて、迫力があります。




そして「Dok2が格好いい」とTwitterで呟いていたりした事が切っ掛けで、Bloomint Musicの鳥居さんと知り合います。ブログを見てみると、あまりにも韓国のヒップホップに精通されている上に、韓国からラッパーまで招聘して、ライブまで開催されており、その行動力に目を見張りました。執筆のお願いをしたのは昨年の終わり頃で、長期間制作していたわけではなく、非常に高速に書き上げられました。誤植も非常に少なく、正直、相当な書き手です。


「世界中でヒップホップが流行っている」という言い方はよくされます。しかしデスメタルなどと違って、ヒップホップは言語がベースの音楽なので、実はその国のドメスティックシーン以上の広がりを持たないことが多いです。実際日本でもヒップホップというとほとんどがアメリカか日本の事を意味し、それ以外の国のヒップホップが注目される事はあまりありません。結局、ドイツやフランスのヒップホップも、たまたま検索したら引っかかったのに驚いて、投稿している人はたまに見かけますが、熱心にシーンをウォッチし続ける人は極めて稀です。


「ドイツ ヒップホップ」「フランス ヒップホップ」と検索しても、私が『ロケットニュース23』で連載している『辺境音楽マニア』ばかりがヒットしてしまうぐらいなのです。


韓国は世界の中では比較的日本との距離が近いですが、それにしても鳥居さんの様に、韓国のヒップホップシーンを丹念に調べあげ、アーティストと実際に直接交流を取り、そして日韓の架け橋になっている人は貴重な存在です。この『ヒップホップコリア』が切っ掛けで、韓国語ラップ、そして世界の非英語圏ラップがブレークする事を期待しています。