2016年6月15日水曜日

『デスメタルインドネシア』が出ます!


『デスメタルインドネシア』が出ます。『デスメタルアフリカ』に続き、『世界過激音楽』の第二弾です。著者はAsian Rock Risingを主宰されている小笠原和生さん。


Asian Rock Rising Asian Rock Risingは日本随一のアジア・辺境メタルディストロとして有名です。


アフリカとは打って変わってインドネシアは近年、ブルータルデスメタルが盛んになってきている事で知られています。Encyclopaedia Metallumで調べたところ、インドネシアのブルータルデスメタルバンドは297バンドもおり、アメリカの736バンドの次に多く、世界で2番目の数。なお3番目はドイツの156バンドでした。


またここ数年の増加割合は欧米に較べて遥かに多く、しかもインドネシアの場合、欧米のバンドに較べてきちんとネットに登録されているバンドが少ないので、実態としては更に多く存在する可能性が高いのです。


一昔前までは、インドネシアというと「カンカンスネア」が特徴とされ、B級臭いものも多かったのですが、今ではNew Standard Eliteなど欧米名門レーベルに所属する、世界最先端のブルータルなサウンドを追究するバンドも増えてきました。もはや音的には欧米に対して引けを取っているとは全く言えず、むしろ世界第一線に位置すると言えるでしょう。


そもそもインドネシアのジョコ・ウィドド大統領自身がメタルファンである事で知られ、他にもメタル好きを公言する市長や県知事がいます。また小学生もデスメタルのライブ会場にいたり、実の息子にドラムをやらせるバンドもいます。


こうした事からインドネシアが、アメリカに次ぐ世界で2番目の規模のブルータルデスメタルシーンを形成しつつある事が分かります。


インドネシアは世界4位の人口2億5千万人を擁しており、スシロ・バンバン・ユドヨノ前大統領の善政によって、中産階級が増大してきています。また元々、ガムランやダンドゥット・ファンコット・プログレが盛んな音楽大国で知られ、手先が器用な国民性と言われています。そうした下地があって、今まさに全面開花したと言えるでしょう。


さてそんな一部の人にしか知られていないインドネシアのデスメタルシーン。長年、インドネシアだけでなく、アジアや辺境のメタルシーンをウォッチされてきた小笠原さんに、シーンの核となる重要バンドを紹介してもらい、多くのバンドにインタビューをしました。


またジャワだけでなく、スラウェシ島やカリマンタン島は当然、インドネシアから独立した東ティモールや、イスラム法で統治されるアチェなどの辺境も徹底調査しました。


インドネシアの特にバンドンのデスメタルシーンを社会学、カルチュラルスタディーズとして研究しているオーストラリアの学者にもインタビューしました。


そして日本でも伝説の辺境プログレとして知られるDiscusや、インドネシアツアーを敢行した日本のデスメタルDefiledにもインタビューしました。


インドネシアはハードコアパンク大国としても知られていますが、その方面に詳しい、RNR TOURSのRyouhei Wakita氏にも「インドネシアンパンク名盤」を紹介してもらっています。


そしてインドネシアは世界最大のイスラム教徒を擁する国としても知られていますが、イスラムの教えに則ってメタルを実践する「One Finger Movement」なる活動も勃興しており、そうしたインドネシア特有の現象についてのコラムなども複数設けています。


そして執筆している合間にも取り上げるべきバンドが無尽蔵に登場してしまい、当初の予定を大幅に超えて、結果的に前巻『デスメタルアフリカ』の2.2倍のページに値する352ページにもなってしまいました。かなり分厚いです。


もはや音楽ガイド本というよりは、学術書とか辞典に近い形になっています。それでも全てを網羅する事は不可能でしたが。そしてアフリカと違って、面白おかしかったり、マヌケなバンドは少なく、純粋に音楽として格好よく、日常的に聴きたくなるバンドが大勢紹介されています。デスメタルマニアも納得の一冊に仕上がっています。


私、ハマザキカクもブルータルデスメタルのレビューや、辺境レポート、インタビューなど随所で原稿を執筆しています。


現在、印刷が始まっており、早ければ本が店頭に並ぶのは7月5日頃です。是非、ご購入頂ければ幸いです。




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